『うつ病は心の風邪』キャンペーンの弊害
こんにちは、ゆきおんです。
皆さんも一度は聞いたことがあると思います。
これにはうつ病が風邪のように誰もがなりうるという意味が込められているのでしょうが、私にはこのように比喩することのメリットよりデメリットの方が大きいのではないかと思われます。
率直に言います。うつ病は風邪のように生易しい病気ではありません。
うつ病は発病して寛解するまで早くて3−4ヶ月かかり、そしてその間の苦しみはインフルエンザにも劣らない苦しみとなります。インフルでは苦しみから逃れるために、死のうとは思わないですが、うつ病では、こんな生き地獄を味わうくらいなら死んだ方がマシだと思われてくるくらいの苦しみなのですから。
そしてうつ病には特効薬はありません。抗うつ剤は患者と相性がある薬で、自分に合う薬が見つかるまで行くつかの薬を試していかなければならないこともあります。
たとえ相性の良い薬であっても、個人的な感想ですが、あくまで治すのは自分で薬は補助的な立場にある、そういう感じがします。
現に薬を飲んでいたとしても、うつ病が10年以上治っていない、そんな人なんて数知れずいます。
うつ病は風邪と違い再発もしやすい病気なのです。
うつ病が再発する割合は約50%と言われています。
再発した人のうち、再び寛解して再々発する割合が70%と言われており、再々発した人がもう一度再発する割合は90%とも言われています。
なのでかなりの数の人が一生付き合わなければいけなくなってしまうのです。
またうつ病は、実際のその患者だけが苦しいそのようなものではありません。
うつ病患者をその周りで見守る人々の心労も相当なものとなります。
これも風邪とは決定的に違う部分でしょう。
家族にうつ病患者がいるから、自分も不眠や鬱に悩まされているなんて人はかなりの割合に及ぶでしょう。
以上記したようにうつ病と風邪の本人と周りの人の負担の大きさには、雲泥の差があります。
20代〜40代の死亡原因の一位が自殺で、自殺の9割以上がうつ病などの精神疾患によるものだと言われています。
死亡率の高さと病気によって被る損害を考慮すると、『うつ病は心の風邪』というより、『うつ病は心の癌』とでも言っても良いのではないかというほどです。
『うつ病は心の風邪』と聞くと、「あー風邪くらいでしんどいなんていうなよ」だったり、「風邪なんだからすぐ直して復帰しろよ」なんて声が聞こえてきそうです。
実際、心の風邪などというから、うつ病の実態があまり広まっていないのでしょう。
私自身、うつ病になる前はもちろん、うつ病になってからもうつ病というのがどういうものかよくわかっていませんでした。簡単に治せるだろう、薬を飲めば1ヶ月もあれば十分だろうくらいに思っていました。
しかし現実はそうではありません。
うつ病になってから約3年が経ってしまいました。
その間に浪費したエネルギーと時間は計り知れません。
もしかしたら、最初から『うつ病は心の癌だ』と聞いていて、それなりに本気で治そうと初期の段階で決心できていれば、現状が変わっていたかも知れません。
もっとうつの実態が広まってくれるのを願うばかりです。
そのためには、うつ病患者が自分の体験をもっと隠さず言えるようにならなければいけないと思います。確かにうつ病に対する偏見だったり汚名だったりというのは根強く残っているのは事実ですが、そろそろ時代が変わる時期にあると思います。
私は友達に自分がうつ病だとカミングアウトすることが多いですが、結構みんなあまり気にしない人が多いです。それで向こうから離れて行くなら私としては離れてくれて結構みたいなスタンスでいます。
カミングアウトしてしまった方が楽です。というよりより自然な関係にもっていけると思います。
皆さんもこの記事で少しうつ病に対する意識が変わればなと思っております。
最後までお読みいただきありがとうございます。